Patient
患者さまへ
Hepato - Biliary - Pancreatic Surgery
肝・胆・膵
はじめに
私たちは、確かな手術技術と消化器内科・放射線科など他科との連携による集学的治療を元に、悪性・良性肝胆膵疾患に対する治療を行っています。肝切除数は年間100例以上にのぼり、特に原発性肝癌の治療については全国屈指のハイボリュームセンターであり※、県内外から多くの患者さんをご紹介いただいています(図1)。
肝癌の進行度、肝予備能、全身状態などを評価した上で、出血量や合併症の少ない安全な手術はもとより、術後も肝臓内科と共にきめ細やかな経過観察と加療(肝炎に対する抗ウィルス療法や再発に対する治療)を行うことにより、長期成績も良好です(図2)。
※ 全国1位 : 週刊朝日MOOK手術数でわかるいい病院2021
図1 最近10年間の肝切除症例数の推移
図2 当科における病期分類による生存曲線
(2000年〜2023年 初回肝切除146例)
(2000年〜2023年 初回肝切除146例)
また、他施設では困難である難易度の高い手術であっても根治を目指して適応を検討します。小さくて描出困難な早期癌から拡大手術の必要な進行癌まで、また、肝移植の必要な肝不全を伴う肝癌においても、患者さんにとって最も有益である治療法をフルラインナップで提供させていただいています(図3)。
図3 広島大学の肝癌(胆道癌を含む)に対する全方位戦略
小腫瘍に対する広島大学独自の肝切除:MRI手術室の活用
画像診断精度の向上に伴い、術中超音波検査では捉え切れないような小さな肝腫瘍に対しても切除が求められるケースが増えています。そのような症例に対するナビゲーション手術の一つとして、術中MRI撮影が可能なスマート治療室『SCOT:Smart Cyber Operating Theater』においてMRIガイド下肝切除を行っています(図1、2)。全国的にも珍しい、広島大学独自の取り組みです。
図1 スマート手術室
図2 術中MRI撮影
低侵襲肝切除:腹腔鏡下・ロボット支援下による肝切除術
腹腔鏡下手術(図1)は開腹手術より手術創や手術侵襲が小さい手術となり、術後の回復が早い傾向にあります。また、近年ではロボット支援下肝切除も日常的に行われるようになってきました。そのため、県内外から多くの患者さんをご紹介いただいています(図2)。保険適応の拡大に伴い、現在当科では肝切除の半数近くを腹腔鏡下・ロボット支援下で行っています(図3)。2回目以降の肝切除(再肝切除)においても積極的に低侵襲手術を検討します。
図1 実際の腹腔鏡下手術(→腫瘍)
図2 ロボット支援下肝切除術の様子
図3 肝臓外科における腹腔鏡下手術症例数
血行再建肝切除術
肝移植で培われた血行再建の技術を応用し、進行した肝癌や胆道癌に対する血行再建を伴う複雑な肝切除術を行う機会が増えてきています。残肝予備能に配慮した術式であり、切除適応の拡大や術後肝不全の発生率を抑えられるなどのメリットがあります(図1)。
図1 胆道癌に対する血行再建を伴う肝切除術(ex vivo肝切除)
化学療法・手術の併用
近年では免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を含む化学療法が発達し、当初は切除不能であった高度進行肝癌や胆道癌が、化学療法後によって根治性切除につながるケースが増えてきています(図1)。消化器内科と消化器外科の綿密な連携により、広島大学は癌の根治を諦めない最後の砦として地域の患者さんを守っています。
図1 化学療法後に根治切除を行った症例(→腫瘍)
安全性と根治性を両立する肝切除の取り組み
肝切除後の重篤な肝不全を回避するため、当科では従来の基準に加え、独自に構築した「VIPPスコア」を用いて、血液検査値と予定肝切除率から術後リスクを評価しています(図1)。この指標に基づき、患者さん一人ひとりに応じた安全な肝切除範囲を算出し、安全性と根治性を両立させた術式選択を行っています。(Honmyo N, et al. HPB (Oxford). 2021.)
- VIPPスコアの算出ツール(医療者向け):
- VIPPスコアの算出ツール(医療者向け):
図1 VIPP Score, 許容肝切除率の自動計算(例)
VIPP Score
Volume-associated ICG–PLT–PT score
The VIPP score is a predictive model for posthepatectomy liver failure (PHLF). It combines preoperative ICG R15, PLT, and PT index with the planned resection or remnant liver rate.
A VIPP score of 3 indicates a high risk of severe PHLF (grade ≥ B), and the permissible liver resection rate to avoid severe PHLF can also be calculated.
This model supports surgical planning and risk assessment in hepatectomy.
📊 Permissible liver resection rate:
0.0 %
✅ VIPP Score: 0
✅ VIPP Score: 0
VIPP score 3 is a high risk of PHLF ≥ B.